近鉄難波線大阪難波駅の剛体架線(き電吊架シンプルカテナリー式)を観察




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大阪難波駅まで戻ってきました。
大阪難波駅でなにがしたかったのかというと、

赤矢印の物です。
近鉄難波線は全区間地下にあり、架線は剛体架線を採用しています。

ただの剛体架線ではありません。
シンプルカテナリー式の剛体架線となっています。

新青山トンネルのき電吊架剛体コンパウンドカテナリー式架線の
シンプルカテナリー版です。
新青山トンネルの剛体架線はホームから離れた場所にあるので、
じっくり観察することができませんでした。

 

しかし、近鉄難波線は全区間でき電吊架剛体シンプルカテナリー式架線を
採用しているので間近で見ることができます。
大阪難波駅は転轍機やカーブもありバリエーションは豊富です。

 

大阪上本町駅(地下ホーム)・近鉄日本橋駅でも観察はできますが、
大阪難波駅で見るのが一番面白いのではないでしょうか。

き電吊架剛体シンプルカテナリー式架線

「き電吊架剛体シンプルカテナリー」は
「き電吊架剛体コンパウンドカテナリー式架線」のシンプル版なので、
改めて書くほどでもないかもしれませんがざくっといきましょう。

全体的な構造は、こんな感じでしょうか。
電車線が鋼材で補強されている以外は、普通のき電吊架シンプルカテナリー式架線です。

IMG_0584

一般的な剛体架線はシンプルカテナリーのようにハンガーで吊架することはなく、
天井直付けとなっています。

 

剛体架線は地下鉄を中心にトンネルの区間での採用されています。
電車線(パンタグラフと接する電線)は直径がだいたい9mmを下回ると交換となるのですが、
トンネル内での架線交換は明かり区間に比べて容易ではありません。
(9mm以下になると断線リスクが高まる)
トンネル区間で剛体架線を採用するのはメンテナンスの簡略化が目的です。

 

しかし、剛体架線にはデメリットもあります。
地下鉄などでは掘削面を小さくするため天井もギリギリで天井直付けが基本です。
こうすると上下動の遊びがないので、振動がパンタグラフに全てのしかかってきます。
振動が大きいほどパンタグラフを押し下げますので、離線リスクの方が高まるわけです。

 

近畿日本鉄道では近鉄難波線のほかに新青山トンネル(大阪線)や新生駒トンネル(奈良線)
といった長大トンネルを抱えています。
両トンネルでは100km/h超の高速運転を実施しているので剛体架線は向きません。
高速運転するなら上下動の遊びのあるカテナリー式が有利です。

 

剛体架線のメンテナンス性にカテナリー式の高速運転対応。
両方のメリットを掛け合わせたのが剛体シンプルカテナリーです。
近鉄難波線は高速運転をしないので通常の剛体架線でよい気がしますが、

  • 新生駒トンネル…1964年
  • 近鉄難波線…1970年

と開業時期が近いので、共通化が図られた結果だと考えています。

 

「き電吊架」については「>>補足を読む」を開いてご確認ください。

続きを読む

補足========================

き電吊架

き電吊架線はき電線と吊架線を一緒にした構造の架線です。
トンネル区間でよく採用される方式でしたが、
JR西日本が明かり区間でも積極的に採用するようになり、
見られるケースが増えています。

可部線の延伸区間(可部駅~あき亀山駅)は、ほぼ全区間でき電吊架です。

 

き電吊架は最初に採用されたのが中央東線の笹子トンネルと聞いたことがあります。
極小トンネルで有名な笹子トンネルは架線の取り回しがとても大変だったそうです。
試行錯誤の結果生まれたのがき電吊架でよかったかなと思います。

 

ただし、最近は事情が変わってきました、
き電線と吊架線を一緒にすることで必要な電線を2本に減らせます。
部品点数の削減にもなりますので、コストダウンに寄与するので、
直流電化区間のJRや大手私鉄で場所関係なく採用されます。

 

そもそもき電線とはどんなものかというと、
日本の直流電化の大半は1500Vを採用しています。
直流電化は地上設備が高くなるといわれますが、その理由は電圧の低さが原因です。

 

電車線はパンタグラフと接しますからある程度強度が必要で、
強度を高めようとすると抵抗が大きい(通電性の悪い)素材が必要になります。

 

抵抗のある電線では電圧降下が起こり、変電所から離れるほど電圧が下がりますので、
車両への電力供給が悪くなります。
遠くへもできるだけ安定して電気を届ける、ここで登場するのが「き電線」です。

 

き電線は大量の電気を通過させるバイパスのようなもの。
パンタグラフと接しませんから強度も必要ないため、
抵抗の低い(通電性の高い)素材を優先的に採用して構成されます。

 

変電所から送り出された電気はき電線を通っていきます。
き電線は架線柱3~5本に1箇所単位でき電分線を設置します。
き電分線を通じて最終的に電車線へとたどり着く流れです。

こうすることで安定的に電気は届けられますが、送電距離は20km程度が限界。
20kmというのも和歌山線みたいな列車本数が極端に少ない区間に限られます。
運行本数が多い区間では送電距離05~10kmしか持ちません。
き電線がなければ、それ以下なので非常に重要な電線なのです。

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2本の電車線を接合している場所のことを「船」といいます。
架線には摩耗しにくい箇所と摩耗しやすい箇所があります。
とくに摩耗しやすいのが停車したときにパンタクラフが来る位置。

 

架線は低速通過する場所ほど摩耗しやす傾向があり、
先ほども書きましたが直径がおおよそ9mmを下回ると交換となるそうです。
架線は1本800mなので摩耗しやすい箇所の直径を基準に交換すると、
ムダが大きくなります。

 

なので、
摩耗しやすい箇所だけ切り取って別の架線に交換する手法がとられるわけです。
そのときに先端部分を少し上に上げるので、
遠くから見ると船体のような形をしているので「船」といわれます。
上方に折り曲げるのは、パンタグラフへの巻き込みを避けるためです。

 

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補足========================

大阪難波駅の船はわかりにくいので、JR東日本黒磯駅の船を置いておきます。
ご覧のように先端部分が上を向いていて船の形をしているのがお分かりでしょう。


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宇都宮駅~黒磯駅は205系が中心に運用されパンタ位置も固定です。
パンタグラフのかかる場所だけ、船が組まれて交換可能な状態になっていました。

 

大阪難波駅の船は両端に設置されていたと思います。
こちらはホーム全体を交換できるようにしていあるようですね。
大阪難波駅を発着する車両のパンタグラフの位置は不定。
全体を交換してしまった方が間違いないでしょうね。

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剛体架線カーブ

近鉄難波線は千日前通に沿って建設されているので、
道路に合わせて尼崎寄りがカーブしています。
電車線が太く見えるだけで、シンプルカテナリーとそこまで違いはないです。
特殊なことをやっていると期待したのですが、ちょっと期待外れだったかも。

転轍機部分

ホーム先端から尼崎側に進むとすぐに転轍機が設置されています。
両渡り(クロッシングタイプ)なので、ここは少々特殊な構造でした。

ホーム先端あたりから、渡り線用の架線が侵入していきます。
通常の剛体架線は天井直付けなので、このようなリードは必要ありません。
シンプルカテナリー構造が色濃く出ていますね。

 

高度を下げながら本線の架線と合流したあと、渡り線に沿って内側に向きを変更。
渡り線用の2本が交わる直前で、離反するように向きを変えて本線と合流します。

 

ここから先は阪神なんば線となるわけですが、
もともとは近鉄難波駅の留置線として活用されていました。
留置線の末端部分に阪神なんば線の新規区間を接続しているので、
そこまでが近鉄の保守区間です。
剛体架線はそこまで続いています。

 

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補足1========================

交流 エアセクション

交流 エアセクション

架線合流部分は北陸本線福井駅手前になる両渡り線と同じ構造です。
北陸本線は方向別BTき電であるため、デッドセクションとなっていますが、
近鉄難波線は直流電化の同一き電なのでセクションではありません。

補足2========================

阪神なんば線の地下区間の架線はセミコンパウンドカテナリーです。
新規開業した地下区間では採用例が多い方式となっています。

 

剛体架線は電車線の交換周期を遅らせることはできますが、
いざ交換するとなると固定しているネジを全部外す必要があり、
交換するのがとても大変です。

架線 イヤー

セミコンパウンドは補助吊架線を通して、
イヤーと呼ばれる留め具を1.0m程度の間隔で配置して架線強度を高めます。
剛体架線の強度を多少犠牲にして、交換を容易にしたのがこの方式です。

阪神なんば線は2.0mくらいあるような気がします。
このあたりは運行頻度で間隔は調整されているはずです。
日中毎時9本(+回送数本)なので、2.0mでよいと判断されたのかもしれません。

 

セミコンパウンドカテナリーは上下動遊びもあるため高速運転にも対応。
剛体シンプルカテナリーと似た性格の架線となっています。
(母体となったのは、おそらく剛体シンプルカテナリー)

小田急小田原線の成城学園前駅がセミコンパウンドカテナリーです。
ここは特急や快速急行が高速で通過するため、こちらの方式が採用されています。

阪神なんば線のセミコンパウンドカテナリーはき電吊架線が2本です。
似たような事例は東京メトロ日比谷線北千住駅。

東京メトロ型き電吊架 日比谷線 北千住駅

日比谷線の方はシンプルカテナリーなので構造は違います。
しかし、き電吊架に限らずき電線を2本束ねる構造は見られるので、
これが標準的な形となっているかもしれません。

 

吊架線を2本配置する構造とダブルメッセンジャーといい、
横風が強い区間で採用されることが多いです。
関西では京阪本線の淀川付近を通過する区間にあります。

正式なダブルメッセンジャーは2本の電線を一定間隔で開けるので、
束にしている阪神なんば線のは正確なダブルメッセンジャーではないかもしれません。

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列車通過時の騒音が大きい

船の真横だったからかもしれませんが、
気になったのが、列車が横を通過するときの騒音です。
剛体架線ですがシンプルカテナリー構造なので、
パンタグラフが架線を押し上げて進んでいきます。

 

当然ながら剛体の重量がパンタグラフ側にものしかかってきますから、
通常の剛体架線より摩擦は大きいのかもしれません。
地下鉄でもここまでの騒音を聞いたことがないですね。

 

剛体架線は摩耗率はシンプルカテナリー架線に比べて大きくなります。
断線リスクが低いので交換周期を延ばすことはできますが、
摩耗率が高いのでどれほど効果があるかは疑問です。

デボ1形復刻塗装で鶴橋駅へ

今回観察したのはこれくらいです。
また見落としがあれば、機会をつくって見ることにします。
大阪難波駅は利用する機会が多いので。

大阪難波駅で活動をしていたら、デボ1形復刻塗装が現れました。
普通尼崎行きだったので、この折り返しに乗車して鶴橋駅へ向かいます。

 

デボ1形復刻塗装はLCカーなんですよね。
LCカーは何度も乗っているのですが、たいていクロスモードです。
ロングモードには乗ったことがなかったので、はじめてのロングモードを堪能しました。

 



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