セノハチ越え!上り線のみツインシンプルカテナリー架線の理由考察




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↑前の記事のセノハチ部分です。
ここではセノハチの電化設備の詳細に触れています。


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瀬野駅→八本松駅(JR西日本|山陽本線)

セノハチは有名なので今更説明するまでもないと思いますが、
簡単に触れておきます。
瀬野駅から八本松駅にかけて22.6‰の上り勾配が続くのがセノハチです。

先日訪問したも連続勾配の峠越えであり、
こちらは66.7 ‰なので揺るかやではありますが列車としてはキツい勾配のようです。
碓氷峠は上下列車とも補機を連結しての運転でしたが、
セノハチは下り列車は下り勾配のため補機は連結されません。

上り貨物列車に限りEF210形300番台の補機を連結して峠越えをします。
あくまで上り(東京方面)のみです。
なので旅客列車は補機の連結がなく、
言われなければ気づかないうちに通過していくでしょう。

 

ちなみにここより勾配区間がキツい場所が東海道本線にもあります。

垂井線です。
こちらは最大25‰の上り勾配が続く区間になります。
ただし、こちらは迂回線(東海道本線下り旧新垂井駅経由)となっており、
貨物列車はすべてこちらを通過するため補機の連結はありません。

 

垂井線に乗り慣れているので「こんなものか」くらいの印象ですね。

上り線のみツインシンプルカテナリー

ウィキペディアでセノハチの項目を見てみると次のようにあります。

八本松駅から瀬野駅の間には「JR西日本 八本松変電所」と「JR西日本 瀬野変電所」の2カ所の変電所が整備され、上り側は架線がツインシンプルカテナリー式になっている。また以前は、瀬野駅に隣接して1894年から1986年まで補機を駐在させるために瀬野機関区が、また中間地点には1912年から1939年まで上瀬野信号所が存在した。
出典:瀬野八 – Wikipedia

「上り側は架線がツインシンプルカテナリー式になっている。」気になる文言がありました。
私は地上設備(特に電化設備)を観察するのが趣味になっているので気になるところ。
実際に現地調査をしてみることにします。

確かに現地を見てみると上り線のみツインシンプルカテナリーとなっています。
セノハチ(山陽本線)は上り線が上り勾配で、下り線が下り勾配と一致しているのでわかりやすいです。

ツインシンプルカテナリーというのは北越急行のトンネル区間で採用されるなど、
高速運転を実施する場合に用いられる吊架方法です。


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列車は高速で走行すればするほど振動が大きくなり、
パンタグラフと架線が外れる離線が起こりやすくなります。
それを防止する目的で二重化しているのがツインシンプルカテナリーです。

 

では、連続勾配のあるセノハチで高速運転が必要なのか?
推測でしかありませんが、これには別の理由があるのでしょう。

 

セノハチは何度も触れているように連続勾配区間です。
特に上り勾配においては貨物列車なら
機関車の最大出力が連続で仕業する区間でもあります。
(補機を連結するくらいなのでお分かりでしょう)

 

電力(W)の公式は電圧(V)×電流(A)です。
電圧は1500V固定ですから電流で補うことになります。
最大出力となれば大電流が必要です。

電流は水に例えられることが多いです。
流水量を増やすには

  1. 水圧を上げて押し出す
  2. パイプを大きくして流す量を増やす

のどちらかになります。
直流の場合は1500Vと電圧が低いためパイプを広げて量を増やす必要があるのです。

 

これで電流の確保はできました。
次に重要になるのは機関車側でどう受け取るかです。
電気機関車なのでパンタグラフから電気を受け取ることになるのですが、
ここにもポイントがあります。

電流はパンタグラフと電車線(トロリー線)の接面で決まります。
水道で例えるなら蛇口をどれだけ開くかです。
水量があっても蛇口を大きく開けないと水は出ませんよね。

 

つまりツインシンプルカテナリーとすることで電流量を増やすと同時に、
パンタグラフとの接する面積も同時に増えるので機関車に
大電流を流すことも可能になるのです。

補機を連結せず峠越えに挑戦したEF200形

セノハチを語る上で外せないのがEF200形電気機関車でしょう。
EF200形はセノハチで補機を連結せず運転することも目的として誕生した機関車でもあります。
出力は1基1000kWにもなるハイパワー電動機を6基搭載して、
最大出力は6000kWとなる怪物機関車です。

 

ちなみに同時進行で製造されていたEF66形は3900kWなので、
1.5倍の出力となっていました。
電圧は直流1500V固定であるため電流側でカバーしなくてはいけません。
EF200形は電流が1.5倍必要な機関車なのです。

追記====================

ツインシンプルカテナリーはEF200形を走らせるため実施されたと思ったのですが、
1970~1980年のセノハチの画像を見てもツインシンプルだったように見えます。
EF200形のための改良とは関係ないようでした。

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上でも紹介したように電流量はパンタグラフと電車線(トロリー線)の接面で決まります。
電気機関車のパンタグラフは旅客電車のパンタグラフよりも大型で、
大量の電気を受け取れるようになっているのですが、

EF200形は特に大電流が必要なため特別大型なので特徴的な形状となっています(先端がY字)。
EF200形は最大出力が6000kWなので4kAhの受電に堪えないといけないので、
電気機関車の中でもさらに強力なパンタグラフを搭載しているのです。

 

ウィキペディアによると1船体のすり板は7枚のようです。
直流区間ではパンタグラフは2基使用するので14枚。
ツインシンプルカテナリーなら接面が28箇所もあり、
広い面積を確保して4kAhの受電を実現しようとしたようです。

未だ実現せず・今後の可能性も消える

前の記事でも触れているように変電所等の整備もして、えて単機運行に挑んだのですが失敗に終わったようです。
6000kW出すと電圧降下で1500Vを大きくしたまわるようになり、
他の車両の標準性能のが引き出せなくなるトラブルが頻発。

後継機であるEF210形の出力は3540kWまで抑え込まれ、
EF210形300番台の補機の新造もはじまっています。
当のEF200形も製造した日立が機関車製造から撤退して、
共食いで部品を確保する状態に。

 

地上設備は単機に対応しているようですが、
当面は補機による運用が続くようです。



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