黒磯駅の地上切換を廃止して車上切換に統一するメリット【貨物列車編】




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黒磯駅は日本で唯一の地上切換を実施している駅です。
それがいよいよ廃止されて直流に統一され、
同時にデッドセクションが黒磯駅~高久駅の間に設置され、
車上切換に統一されます。


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これには当然ながらメリットがあるから実施するわけです。
なかでも大きく恩恵を受けるのが貨物列車。
車上切換の場合はデッドセクションに入ったら交直スイッチを
切り換えるだけで済みます。
しかし、地上切換になると面倒な作業が必要なのです。

 

下記の作業内容を見たら直流化することのメリットがわかると思います。
メリットは大きく分けて2つ

  1. 交直転換作業の軽減
  2. 列車選別装置の搭載不要

黒磯駅地上切換設備(交直転換作業の軽減メリット)

まずは黒磯駅の地上切換設備を見ていくことにします。
設備が分からないとメリットも分かりませんからね。
ただ、私はそこまでデッドセクションに詳しくはないため、
曖昧な状態で調査をしてきました。
相当な調査漏れがあるのでご了承願います。

最初に一番肝心な交直切換断路器の紹介です。
といってもこれではどんなものかわかりませんね。

これが接近してみた画像です。
スイッチになっていてここで直流と交流を転換ます。
接続されている電線の太さを見れば、
右が直流(太い)左が交流(細い)と予想できるでしょう。
画像は交流印加の状態です。

補足====================

電力(W)の公式は電圧(V)×電流(A)です。
交流は電圧が高いため電流が少なくて済みます。
逆に直流は電圧が低いので電流が多く必要です。
電流を多くするには電線を太くしなくてはいけません。

======================

このスイッチは各線ごとに分かれているようです。
一番手前のスイッチが黒磯駅5番ホーム用。
真ん中が側線1、一番奥が側線2となっていました。

 

標準では側線2が交流印加で、
5番ホーム、側線1は直流印加で固定されているようです。
(直流に設定されている部分をおさえておいてください。)
交直転換の動きについては後で触れます。

セクションインシュレータです。
要するに絶縁体のことで、ここで電気は分断されます。
セクションインシュレータは黒磯駅の両サイドにあります。
セクションインシュレータ間が交直印加の変更ができるわけです。
(実際はインシュレータより先もできるようになっていますが基本どちらかに固定)

 

地上設備でおさえる部分はのこれくらでしょうか。
では実際に列車の入線から出発までを見ていきます。

黒磯駅地上切換の動き

1070レを例にしてどのように地上切換が実施されるのか、
こちらについて触れていきます。
細かく見ていくとキリがないためざっくりとした説明です。
ご了承ください。

1070レが到着する前の動き

1070レは黒磯駅1103着の1109発で5番ホームのある線に入線します。
画像ではすでに1070レが入線した状態です。
ここまでどのようなことが行われたかを簡単に触れます。

 

1070レ到着5分前に普通列車黒磯行き(2132Mレ)が
4番ホームのある線に入線してきました。
4番ホームは郡山方面へ向かう電車が発着するためほぼ交流固定です。
そのためか転轍機は4番ホーム線を本線固定としているようでした。

 

2132Mレが到着完了すると5分後の1070レを入線させるため、
転轍機は5番ホーム側に切り替わります。
このとき5番ホームは直流印加であるため、
同時に交直切換断路器は交流印加に転換されるようです。
(バチッという音が聞こえるのでよく分かります)

そして1070レが所定の停止位置に到着。
それが画像の状態になります。
交流区間から来たためパンタグラフは1基のみです。

 

国鉄からの慣例だと思いますが交流区間は電圧が高いため、
パンタグラフは1基のみ使用が基本となっています。
(上の補足も参考に)
上げるパンタは車両後部となっているのですが、
EH500形のような連接機関車で中央部にパンタグラフがある車両は、
中央部のパンタを上げることになっているようです。

1070レが到着した後の動き

黒磯駅にはこのように手順が明記されています。
運転士の交代も同時に実施されるため運転士2人、
そして信号担当の3人がそれぞれ連携で動くようです。

到着運転士は機関車の電源を落としてパンタ下げの準備を行い、
乗継運転士に引き継ぎます。

 

パンタグラフをすべて下ろして切換です。
現状では交流印加となっているため交直切換断路器を
直流へと切り換えます。


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直流に切り替わると同時に出発信号が青に変わります。
出発信号の下に縦2個のランプが付いていますが、
これが直流印加のサインです。
交流の場合はここが横2個になります。

地上設備の直流へ切換が完了すると今度は車両側です。
パンタグラフを2基とも上げて出発準備に入ります。

そして11:09に定刻通り黒磯駅を出発していきました。
ここまで所要時間6分です。
非常にスピーディーに作業をこなしていました。
停車時間は列車によってまちまちですが最低6分確保されているようです。
一番早い切り換え作業がみられたことになります。

 

という感じで何人もの人が連携して交直転換をしなくてはいけません。
わずか6分ですがやることがもの凄くあります。

 

そして事故は起こってしまいました。

交直切換ミスが計画前倒しの可能性あり

つい2ヶ月ほど前に交流電車に直流電気を流して発煙するトラブルがありました。
この事故は5番ホーム線に入線していた交流電車だったようです。
信号担当が貨物列車と勘違いして直流転換した可能性が高いです。

 

このように貨物列車は5番ホーム線で交直転換をします。
5番ホーム線に旅客列車、側線1線に貨物列車はイレギュラーなパターンです。
誤操作の可能性は十分あるでしょう。
ちょっとのミスが大きな事故を引き起こすのです。

現状これだけやることがありますが、
これが車両側のスイッチを切換えるだけ(運転士1人の作業)になります。
とてつもなく簡単になりますし、事故防止にもなるのです。

 

黒磯駅のデッドセクション移設は以前から話がありました。
事故後に10月のJR東日本単独ダイヤ改正が突如発表されています。
この事故が計画を前倒しにした可能性は十分あるでしょう。

寝台特急は黒磯駅を通過していた(列車選別装置の搭載不要メリット)

北斗星やカシオペアと言った寝台特急に乗車したり見たことがある人なら、
黒磯駅でこれらの列車は停車しないことをはご存知かと思います。
このように通過できる列車があるのになぜ貨物列車は停車するのか?

 

これには乗務員交代という意味もあるのですが、
車両の都合で通過できないということがあります。
黒磯駅を直流化する貨物列車のもう一つのメリットがこれです。

北斗星やカシオペアのように通過しながら切り換えるためには、
専用の列車選別装置が必要になるとのこと。
JR貨物の機関車にはこれがありません。
よって地上側を手動で切換をする必要があるのです。

5番ホーム線を通過する寝台特急

寝台特急は貨物列車と同じく5番ホーム線を通過します。
上りで車上切換ができるのは5番ホーム線だけだからです。

こちらは郡山側です。
同じようにセクションインシュレータがあるのですが5番ホーム線のみ、
車上切換のセクション構造となっています。
黒磯駅が車上と地上の併用である証拠です。

 

車上切換の場合は無電区間が最低でも50m必要になります。
厳密に言うと

  • 交流→直流(25m)
  • 直流→交流(50m)

これは機器回路の作動タイムラグを考慮して無電状態が必要なためです。

 

専用の列車選別装置がないと接近すると交流に転換され、
車上切換ができないようになっています。
北斗星やカシオペアは専用の列車選別装置のおかげで、
交流にならず直流のまま固定できるので通過が可能なわけですね。

 

搭載しない貨物列車で同じ事をしたらどうなるか?
宇都宮側に上で紹介したセクションインシュレータがありますが、
当然ながら長さは50mもないので迅速にやっても、
交流回路に直流電気が流れ込んで車両が壊れるでしょう。

 

専用の列車選別装置をJR貨物の電気機関車すべてに搭載したら
一応解決する話なのですが、
EH500形電気機関車は何両いるでしょうか?
JR東日本の機関車は数が少ないからこそできたことなのですね。

 

最終的に残った解決策は地上切換を廃止すること。
こうすることで機関車に専用の列車選別装置を搭載する必要もないですし、
交直転換も運転士1人でできるようになるのです。

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