JR東海飯田線平井踏切は動力高圧配電線からの単相変換




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平井信号場はエアセクションの観察のために訪れたのですが、
すぐ近くに踏切があるためそちらもちらっと見てきました。
踏切への電気供給は架線柱にある高圧配電線より行われます。


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場合によると思いますが、高圧配電線も

  • 信号高圧配電線(単相3300V)
  • 動力高圧配電線(三相6600V)

の2種類を併用しているようです。
踏切は単相交流100Vを用いるようなので信号高圧配電線を使うわけですが、
平井踏切を見る限りでは三相交流の動力高圧配電線から引き込んでいるように見えました。

平井踏切付近の変圧器構造

こちらが平井踏切付近にある変圧器の構造です。
架線柱を見ると高圧配電線があり3本の電線が確認できますね。
3本ということは三相交流であり動力高圧配電線と推測できます。

ちなみにこちらが東海道本線(矢作川橋梁)の架線柱です。
上り線側に3本、下り線側に2本あります。
おそらく3本は動力用、2本は信号用でしょう。

片方に集めているパターンもあります。

 

東海道本線ではこのように用途で分けているようですが、
飯田線では動力用の三相交流のみで信号用は別途用意していないようです。
飯田線沿線の駅構造などを加味すると分ける必要はないかもしれません。

 

ここで注目したいのが結線方法です。

 

動力用の三相交流から単相を生み出すことは可能なのか?
平井踏切の変圧器を見ると電線3本のうち2本を繋ぐだけという非常に単純な構造をしているのです。

 

単相交流では行きと戻りの2本の電線が必要なため、2本の接続で電気が流れるのは正しいといえます。
もちろんやっているのは電気のプロですから可能なのでしょう。
しかし、なぜこれで良いのかという疑問はあります。

三相交流は3本の合計電圧がゼロ

こちらの記事でも触れていますが、三相交流は位相差が120°の電気です。
(360°÷3=120°)
120°の位相差があるとどの地点をとっても電圧の合計はゼロになります。

548px-3_phase_AC_waveform.svg
出典:三相交流 – Wikipedia

90°の位置を見ると

  • Phase1=+1.0
  • Phase2=-0.5
  • Phase3=-0.5

で3つを合計するとゼロとなり回路が成立しています。
つまり常にマイナスとプラスが電位差ゼロで均衡するということです。

 

しかし、平井踏切の変圧器のようにうち2本を接続するとこれを乱すのではないかとい疑問が出てきます。
これについてはおそらく下のような理由で成立するのでしょう。

実際に2本の電線を接続するとどうなるか?

ここから2本を接続して単相交流を取り出すとどうなるか。
Phase1をそのままにしてPhase2とPhase3を合算すると

  • Phase1=+1.0
  • Phase2+Phase3=-0.5+(-0.5)=-1.0

ということになります。

 

Phase2とPhase3の電圧を合算した波形を描くとPhase1と180°位相差のある波形となるわけです。
よって2本を接続したとしても電圧の合計は常にゼロで成立するため回路となると言えます。

 

しかし、…

よろしい接続方法ではない!?

よく見ていくと使って良い場合とそうでない場合があるようですね。

 

特大貨物シキ800でお馴染みのダイヘンのサイトを見ると以下のようにありました。
あまりよろしい接続方法ではないようです。


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三相電源の2線から単相負荷を取ると三相電源がアンバランスになりますが、単相負荷が二系統に分割できる場合は、スコット結線変圧器を使えばバランスよく使うことができます。
出典:スコット結線変圧器とは、どんな変圧器ですか? | 電力機器 | 株式会社ダイヘン

 

では、ここでいうアンバランスとはなにか?
推測ですが電圧降下の話でしょう。

スコット結線変圧器

上の文はスコット結線変圧器について書かれた説明文です。
ではスコット結線変圧器とはなにかというと三相二相変換変圧器になります。

交流電化の変電所で採用されている変圧器です。

 

交流電化においては上のように2本を繋ぐ方法ではなく、
三相二相変換変圧器(スコット結線変圧器)を使って二相交流を作り出し、
1つを上り線、もう1つを下り線と分けてき電しています(複線の場合)。

 

交流電化では架線に単相20000Vもしくは25000Vが流れてしますが、
平井踏切の変圧器のような単相変圧器ではなく専用の変圧器を用いているのです。
踏切や信号機などで使われる電気は電圧降下を起こすほどの負荷はないでしょう。

 

しかし、電車となれば負荷が大きいので電圧降下は起こりえます。
そのためエアセクション内で停車ができないわけです。

 

3本中2本だけを接続した場合、接続されていない1本は無傷です。
理想としては3本が等しく電圧降下することなのでしょう。
アンバランスになるとはそういう意味なのだと思います。

 

三相交流回路から大きい単相交流負荷(交流式電気鉄道、電気炉など)にまたは非常用予備発電装置から単相交流負荷に供給する際などに三相交流電源への電圧不平衡防止のためしばしば採用される。
出典:変圧器のスコット(T)結線とその使用例 | 音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会

 

この接続方法電圧の乱れを起こすことは的外れではないようです。

電力会社でも普通に実施している結線方法

今回はJR東海飯田線平井踏切の例で見ましたが、どうやら電力会社の配電網もこのようになっているようです。
家庭用配電線は主に三相交流6600Vとなっています。
ここは鉄道事業者と全く同じです。

 

電力事業者の規格に揃えた方がコストカットになりますからね。
家庭用に引き込まれる電気は単相交流100V(または200V)です。

 

三相交流から単相交流への変換が必要になります。
その場合も上で触れたような3本のうち2本だけ接続する方法をとっているようです。

ただし、中部電力の柱上変圧器を見ると3本結線です。
変圧器が1個なので単相交流であることは分かるのですが、残りの1本はどうなっているかは判別できませんでした。

平井踏切の変圧器には仕様が書かれていました。
1次側は入力なので6600V、2次側は出力なので105V・210Vです。
単相変圧器の接続は2本となっています。

単相三線式

もうすこし余談をいうと最近では単相三線式での引き込みが一般的です。
3本なので三相交流と思われるかもしれませんが、単相の電気を3本で送っていることになります。

 

3本の接続方法によって100Vと200Vを切り替えることができるらしいです。
IHクッキングヒーターのような電気で熱をつくるものは200Vが増えています。
そういう事情もあって家庭で200Vは珍しくないようです。

平井踏切の変圧器も単相三線式です。
上で紹介したように100V(105V)と200V(210V)に対応していますが使っているのは100Vだけでしょう。
200Vを確保する場合は一番離れた接続をするのだと思います。

 

三線式と言いながら端子は4つあります。
単相四線式とみられますが、内側の2本は通常1本です。
接続ミス対策のため途中で分岐しているのでしょう。
よって実質3本です。

 



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