和歌山線の電化は建築の限界から直接吊架になった可能性




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和歌山線の和歌山~五条の大部分は直接吊架方式です。
厳密に言えば国鉄が開発したY型直接吊架方式(正式名称はない)
というものになります。


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この区間にもシンプルカテナリーの部分があります。
ひとつは触れませんでしたが和歌山~新在家派出所間です。
この区間は意図は分かりませんがシンプルカテナリー
となっていました。

紀ノ川橋梁 シンプルカテナリー 和歌山線

もうひとつが紀ノ川橋梁です。
これはウィキペディアにも書いてあります。
わかりにくいですが吊架線と電車線があるので
シンプルカテナリーであることは間違いないでしょう。

 

なぜここだけシンプルカテナリーにしたのかはわかりません。
川なので横風の影響を減らすためなのか、
橋梁の構造からシンプルカテナリーにしないといけなかったのか
この点はよくわかりません。

 

和歌山線は国鉄末期にお金が無い中で行われて電化です。
電化する場合は設備更新が必要になることが多いですが、
そんな余裕はなく既存のものを流用しています。

 

和歌山線の紀ノ川橋梁は1930年からあるものを現在も
使っているらしく電化の「で」の字もなかったころのもの。
そのため無理が生じてきます。

和歌山線 Y型直接吊架方式

和歌山線でもき電線は電車線よりも高い位置にあります。
しかし紀ノ川橋梁のき電線は電車線と同じ位置です。
本来であれば高い位置にするはずですが、

 

そうすると吊架用の鉄骨が必要などコストが嵩みます。
これもコスト削減の一環なのでしょう。
トンネル内もこのような配置の場所があるので
おそらく問題はないと思いますが。

紀ノ川橋梁 シンプルカテナリー 和歌山線

今回は高圧線も表記しました。
高圧線は地上設備(信号や踏切)を作動させるための電線です。
交流6600Vが流れており、
これを100V変換して作動させているとのこと。
各家庭に電気が届くのとまったく同じようです。
(警報機は家庭用電源で動く)

 

この高圧線は電気車に対して電気を供給するものでhありません。
そのため外側に設置されています。
つまり電化されてから設置されたものではありません。

和歌山線 粉河駅 エアセクション

粉河駅手前でエアセクションを通過します。

こちらは粉河駅の変電所のエアセクションかと思います。
エアセクションは原則停車禁止の場所ですから
駅構内に作るわけにはいきません。

変電所からだいたい700mくらい和歌山側に設置されています。
ちなみに和歌山駅から粉河駅までは距離が21.5kmだそうです。
直流電化は最大20kmまで送電できるので限界距離ですね。

追記==========================

ご指摘で布施屋駅付近に変電所が確認できました。

新在家派出所~粉河駅は布施屋変電所の担当です。
布施屋駅から粉河駅は13.9kmなのでほぼ中間地点。

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粉河駅

約30分で終点の粉河駅に到着。

IMG_0721

しばらくすると反対側からラッピング編成がきました。

IMG_0722

運転席上のJRマークとかタンタグラフが1箇所とか
微妙な違いもありますね。

IMG_0726

さてここで違和感を覚えました。
こちらはここまで乗ってきた折返し列車です。
ラッピング編成の画像と比べて気づいた点はないでしょうか。
…と言っても難しいですよね。

IMG_0727

2番線に入線した折返し車両のパンタグラフに注目。
屋根と電車線が接近しているのでパンタグラフが通常よりも
折り畳まれているのがわかります。
3番線に入線したラッピング編成は普通の高さですよね?

IMG_0730

粉河駅は1番ホームと2・3番ホームは跨線橋で接続しています。
跨線橋をくぐる1・2番線の架線は跨線橋の影響を受けるのです。
3番線は跨線橋がありませんから影響を受けません。
そのため3番線と2番線ではパンタグラフの高さが異なる
ということが発生しているのです。

 

跨線橋は人の往来が前提になります。
そのような場所の近くに直流1500Vの電線があれば感電する
リスクは発生します。
電化する場合はこれらの設備を含めて見直し、
危ない箇所は更新しないといけません。

 

和歌山線は国鉄末期のお金をかけない電化です。
跨線橋を更新する費用は無かったでしょう。
結果的に既存設備を流用して電化している場所が多いです。

 

粉河駅の跨線橋を見てシンプルカテナリーを設置するのは難しいでしょう。
吊架線を含めたシンプルカテナリーを採用する場合は確実に既存設備の
更新を含めて電化設備を整備しなくてはいけません。

 

建築の限界から苦肉の策として考案されたのがY型直接吊架方式と
言えるのではないでしょうか。
確認はしていませんが、おそらく他の同様の電化が行われた路線も
建築の限界の影響は受けているはずです。

 

和歌山線は地方ローカル線ですがトンネルが一箇所もありません。
(開業時からあった1箇所は廃止済み)
電化する場合ネックになるのがトンネルです。
トンネル断面が狭すぎて電化できない事例も多々あります。
(四国の非電化路線はこの影響を受けている)

 

トンネル断面の狭さというのは電化では致命的です。
和歌山線にはトンネルがないため大幅な改修工事は必要ありませんでした。
これが和歌山線電化に踏み切った理由とも考えられます。
(七尾線が旧北陸本線と違い直流電化された理由もトンネル断面)

 

電化決定

建築の限界で汎用性のあるシンプルカテナリーが組めない

部分的な直接吊架方式はどうか

全線で採用したら架線柱等のコスト削減もできる

直接吊架方式候補

高速度運転に向かいない

支持点を逆Y字にして85km/hまで確保

Y型直接吊架方式開発へ

このような流れがあったのかなと勝手に想像しています。

 

今回は国鉄末期に電化した路線で採用されているY型直接吊架方式の
観察をするためにきたので架線だけ見る予定でしたが、
和歌山線の電化は建築の限界ギリギリで行われているのでは
ないかということが粉河駅でわかりました。

 

それを踏まえたうえで沿線設備や構内設備も確認しながら進む必要がありそうです。

→2015年09月04日の全行程はこちらへ



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“和歌山線の電化は建築の限界から直接吊架になった可能性” への2件のフィードバック

  1. 風旅記 より:

    こんばんは。
    和歌山線の架線の記事、興味深く拝見しました。
    単に電化する際の架線自体のコストを下げるため、くらいにしか思っていましたが、確かに駅やトンネル、橋梁など、列車の上側の空間に制約のある場所はたくさんありますし、それらの施設をそのまま活用し続けることも含めての、全体でコスト削減した電化方式であったことがよく分かりました。
    速度が制限されてはいますが、85キロまで出せれば、この路線としては間に合う、という判断なのでしょうか。列車の本数が少ない路線にしか使えない方式なのかもしれません。
    当面はこのままになりそうですね。
    七尾線の電化の事情も、興味深いところです。
    今後とも、宜しくお願い致します。
    風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

    • hanatabiRSR より:

      風旅記様

      こんばんは、はじめまして。
      ご覧いただきましてありがとうございます。

      私も直接吊架は架線コスト削減目的だけと思っていました。
      しかし、実際は建築の限界など他にも多々制約があります。
      それが理由で直接吊架を採用するにいたったかどうかは
      定かではありませんが、
      一つの可能性としてみています。

      ここ数年で電化した路線に小浜線や加古川線があります。
      こちらは改良型のシンプルカテナリー(き電吊架)を採用しています。
      小浜線はトンネルがあるので制約は大きそうですが、
      シンプルカテナリー規格で電化を成し遂げています。

      答えは電化に携わった人でしか知り得ないことかなと思います。

      >速度が制限されてはいますが、85キロまで出せれば、この路線としては間に合う、という判断なのでしょうか。列車の本数が少ない路線にしか使えない方式なのかもしれません。
      直接吊架は高速運転には向きませんね。
      弾性が低いためパンタグラフの衝撃を吸収できず離線リスクが高まります。
      離線させないようにするには速度を落とすしかありません。
      基幹線というわけではありませんので、このまま使い続けるのかなと思います。

      >当面はこのままになりそうですね。
      電化設備の更新は多額の費用がかかるようなので、全面更新するよりメンテナンス費用の方が安いのではないかと思います。

      >七尾線の電化の事情も、興味深いところです。
      七尾線も似たような経緯ですが特急列車が往来するのでシンプルカテナリーですね。
      しかし、駅の跨線橋などは更新しなかったようで無理をしているところがあります。
      今度取材に行こうかなと考えています。
      記事はアップしますのでお楽しみに。

      今後とも、宜しくお願い致します。

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