架線の基本講座




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半年くらい前からは乗り鉄をしつつ架線の観察をしています。
日帰りで行ける範囲はだいたい乗りつぶしているため
なにかネタを探そうと考えたときに浮上したのが架線観察です。


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基礎講座といっても私は素人ですので詳しいことは分かりません。
一応、知人には地上設備の保線専門家がいるため入れ知恵はしています。
間違っている部分もあるかもしれませんのでその点はご了承ください。

架線の役割

鉄道車両には電気を供給してもらうことで動く車両と、
軽油や重油、蒸気といった燃料で動く車両があります。
電気を供給してもらい走行することを可能とする車両に
対して電気を供給する設備が架線です。

 

 

電気を供給してもらうことによって走行できるため
架線のないところでは走行できません。
電気を供給を必要とする車両が走行する区間には必ず
架線が存在すると言えます。

 

 

最近では車両にバッテリーなどを搭載して架線のない
路線でも走行できる車両や、
自己発電により電気を作り出しモーターを回して走行
できる電気式ディーゼル機関車もあり例外も多いです。

 

 

モノレールやリニアといったレールと給電がほぼ同一の
構造になっているものや地下鉄で採用されている
2本のレールの横に3本目のレールがあり、
そこから給電する第三軌条方式など終電方法も多岐に渡ります。

 

 

例外もありますが、大多数は架線から電気を集電する
スタイルを採用しています。
架線より終電する方式は架空電車線集電方式と言われます。

 

 

電車線とは路線のことではなくパンタグラフに接している
電線ことを言います。
ここから架線の部品について紹介していきます。

 

 

主要3つの部品(電線)

DSC04485
一般的に架線と呼ばれるものは主要3つの部品で構成されいます。
これは私が説明するときに勝手に分類しているだけなので
正しいかどうかはわかりません。

 

 

こちらの画像は東海道本線のJR東海区間にある架線です。
3点の配置は上の画像のようになっています。

電車線(トロリー)

電車線(トロリー)は一般的に架線といったらこれです。
パンタグラフと接する線で電気供給をしている電線になります。

 

 

DSC04546

通電を前提とした電線なので電気の流れやすい銅を用います。

 

 

パンタグラフと接するため架線とともに摩耗します。
そのため太さは直径12~15mm程度です。

 

 

DSC04545

知人曰く、この白い点が架線の一定間隔に付けられていて
ここで直径を測り9mm以下になったら交換のタイミング
と話していました。
これが全事業者共通の話かはわかりませんが。

 

 

実際に測ってみたら10mm以上ありましたので早期交換
だったかもしれません。

吊架線(メッセンジャー)

一番上の画像では電車線を吊り下げているもう1本の線がありますね。
それが吊架線(メッセンジャー)と呼ばれるものです。
日本において最も採用されているのはこのスタイルになります。
架線柱に直接電車線を取り付けるのではなく吊架線のクッションを
挟んで吊架するのです。

 

 

こうすることで架線の水平性を高めることができます。
水平性を高めるには両サイトから引っ張る必要があります。
吊架線は張力に耐える力が必要なので素材は鋼が使われるようです。

 

 

吊架することが目的ですが、電車線と金属パーツで接続されているので
電気も流れていますので電線の一部です。

き電線(フィーダー)

き電線は電気の供給電線です。
画像ではわかりにくいかもしれませんが、
電線の中では他よりも一回り大きく見えるのではないでしょうか。

 

 

家庭用の電源は街中に張り巡らされた送電線から供給しますね。
この電圧が6600V(交流)あるそうです。
直流1500Vは電圧は高いですが送電線からすると低い部類になります。

 

 

電力会社は電圧を上げて対応していますが、
直流1500Vを採用している鉄道事業者はそれができないため
容量を増やすことで安定性を保っています。

 

 

き電線は電気を安定的に供給することに特化した電線になります。
そのため電線に強度より電気抵抗の少ない素材が適材です。

 

 

 架線その他の部品

架線にはき電線、吊架線、電車線の他にも多数の部品が使われています。
全てを紹介すると多くなるので一部を紹介します。

 

架線柱とビーム

DSC03919

架線を吊架するためには支柱が必要です。
その役割をするのが架線柱と呼ばれるものになります。
架線に詳しくなくてもこれはわかるかと思います。


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架線柱に挟まれたレールに対して垂直に交わるよう設置されているのが
ビームと呼ばれるものです。
網目状になっているのが特徴です。
この理由は鉄塔と同じで風の抵抗を受けないようにするためのようです。
首都圏では架線柱とビームが一体になったタイプのものも登場しています。

 

 

可動ブラケットと曲線引金具

DSC03919

(JR西日本東海道本線山科駅構内)

架線を直接支持する部品が可動ブラケットと曲線引金具です。
可動ブラケットは水平方向への可動、
曲線引金具は垂直方向への可動を可能にしています。

 

 

架線はパンタグラフの追従性を高める必要があります。
金属は気温によって伸縮をするため調節する必要があります。
可動ブラケットは金属の伸縮に容易に対応できるようにするため
必要になります。

 

 

WS000003

可動部の拡大画像です。
可動部は蝶番になっており水平方向に180度の可動できると思われます。
なかには可動できない固定ブラケットもあるようです。

 

 

この架線の場合はブラケットの固定部分に段差ができていますね。
線路の高さは両線とも同じはずなのでこのままでは架線の
高さに違いが生じてしまいます。
そこで活躍するのが曲線引金具です。
垂直方向へ稼働しますから架線の高さ調整ができます。

 

 

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(JR西日本山陽本線加古川駅~東加古川駅)

単線区間や一部の複線区間ではこのような架線柱に
直接ブラケットを設置するタイプもあります。
I型とO型の2種類が存在します。
Iは引っ込んでいるので「in」Oは飛び出しているので「out」となっています。

 

 

加古川 き電吊架線

架線というのはパンタグラフの摩耗も考えないと
いけなくなります。
直線区間ではブラケットがI型とO型が交互になるように配置されています。

 

 

左の線はO型が3連続していますが、
右側の線はI型とO型が交互に配置されていることがわかると思います。

 

 

架線をジグザグにすることでパンタグラフの
スリ板(消耗品)の一点摩耗を防いでいます。
ジグザグにすることができればO型が連続しても
問題無いということになります。

 

 

テンションバランサー

架線というのは線路に対して水平であることが望ましい状態です。
水平性が低いくたるみがあるとパンタグラフがバウンドして
離線する危険性が出てくるためデリケートなものです。

 

 

架線は電気を流すため金属である必要があります。
金属は気温に左右され伸縮するのでレールと同じく調整する必要があるのです。
レールの場合は継ぎ目に隙間を作って対応しますが、
架線の場合は張力を変えて調整します。

 

 

その張力を調整する装置がテンションバランサーです。
架線の伸縮はテンションバランサーで吸収します。

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(JR東海東海道本線名古屋駅~尾頭橋駅)
テンションバランサーには大きく分けて3種類あるそうです。

  • 滑車式
  • ばね式
  • 油圧式

滑車式は古くから使われているタイプで、
重りとしてコンクリートや金属を活用しています。
最近ではばね式が採用されることが多いです。
なかには油圧式というものも存在します。

 

 

 

き電分線(フィードイーヤ)

 

余談

私の祖父は名古屋鉄道で車両整備をしていました。
電気系統の担当だったようでよく「がせん」といっていました。
鉄道業界では架線は河川と混同されやすいことからあえて
濁らせて「がせん」と呼ぶことがあるようです。

 

パソコンを入手して「がせん」と打ち込んだところ漢字変換が
できないことから「かせん」が正式であることを知りました。
業界としては「がせん」が正しいのかもしれません。

 

 

知人の保線専門家は「かせん」を使っているので
もしかしたらこれは古い話かもしれません。
この辺りは今度聞いてみようかなと思う次第。



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